虫の息

おれは陽気なカブトムシ

夢に見るほど

最近夢に出てくる親父、死んだ犬、昔の友人、捨てた故郷の風景。

 

警察が何度か家に来たことがあるくらい、親父のDVは凄まじかった。それでも親や大事な人を失えば寂しさに駆られたり、優しさを身につけることができるものだと思っていた。

 

おれが家を出て10年後、親父は祖母を殴って失明させ、病気の犬すら見殺しにした。祖母の葬式で久々に会った時、家をめちゃくちゃにしたのは自分のせいだ、すまなかったと生まれて初めて謝られた。それで許されると思ったのだろうか。

 

いずれは横須賀に帰って親父の面倒を見なければならないと思っていたので、いくら憎くてもこれを機に帰るつもりだった。

 

親父の話では家と土地を売った金でおれたち家族がマンションに住み、仕事は自営業なので再就職するまでは一緒に仕事をしようということだった。

 

葬式後はしばらく連絡を取っていたが、ある日家と土地を売った金を相続税などでほとんど使ってしまったと言ってきた。

 

さらに数日が経ち、生活保護を受けたいという旨のメールが届いた。

 

あぁ、やっぱりこれか。

墓だけ畳んで早くくたばってくれ。