虫の息

おれは陽気なカブトムシ

幼虫vs昆虫

幼虫はごはんを食べるのが苦手で、何も言わず放っておけば1時間くらい遊んだり食べたりを繰り返している。

 

現在4歳で、2歳くらいの時からこのような状況が続いている。なんとかしてあげたいので時間を決めて食器を下げるなどしていたが、食べたくないものを床に落としたときは叱っていた。おれたち夫婦もストレスの限界が来たときは怒鳴ったりしてしまっていた。

 

いわゆるグレーな子供という認識はあるが、学習や音楽に関しては人並より秀でているので、得意なことがあるなら別にいいと思っている。しかし集団行動は苦手であり、職員室から様子を見ていると1人だけ下を向いて虫を探していたり、呼ばれても遊んでいることが多い。それでも最終的には合流できるので担任からも問題ではないと言われていた。

 

食事について担任から相談されたのはつい最近のことだった。給食を一口二口しか食べず、おやつだけはすぐに食べるということだった。また食事だけではなく日常生活にも支障が出てきていて、すべてにおいて集中力や積極性がなくなっていると言われた。これは自分のせいだと思い、昨日から対応方法を変えてみた。

 

まず、選択肢を与えないこと。ストイックにというわけではなく、パラドックスが起きないようにした。

例えば片づけをしてほしいとき、幼虫がまだ遊びたいと言う。「じゃあ遊んでもいいよ、でも残ってるおもちゃは掃除機で吸っちゃうからね」という脅しをかけた場合、幼虫視点で見れば①片づけ②遊びという選択肢が出るが、実質②は消失している。こういうことを繰り返してしまうと、幼虫に「〇〇したい」という意見をもらうこともできなくなってしまうし、このケースで考えれば「遊んでもいいよ」と言うだけでおもちゃが吸われてしまうことを察して泣いてしまうと思う。このようなことをしている親は多いのかもしれないが、気持ちの整理が苦手な子に対してはマイナスしか生まないのかもしれない。

 

実際上記のように泣いてしまうことが増えてきた。個人的な見解だが、片づけてほしければ遊びたいという意見は完全に否定してあげないと頭の中で整理ができなくなるのかと思う。

 

次に、甘やかすこと。これも決して極端な意味合いではなく、あくまでも恐怖感を消し去ることを目的とする。

今までは飴と鞭で、ごはんが食べれたらおやつをあげるよ、早く起きれたら遊んでもいいよというやり方をしていた。よくよく考えたらこれは全て食事に結びついていて、早く起きても朝ごはんを食べることができなければ遊ぶ時間はなくなるし、夜はデザート(おやつ)も食べられなくなってしまう。休日に朝昼ごはんをゆっくり食べていれば出かける時間もなくなる。

 

おれもそうだが白米があまり食べられないし、食べること自体が好きじゃない。自分と同じであれば幼虫もそういう体質である可能性があるので、実験的にごはんを少なくすることにした。量が少なければ食べ終えて達成感を得ることもできると思う。達成感を得る前に食べることをやめてしまっては意味がないので、集中力が切れたら指摘せずに親の手で食べさせてあげることで、安心感を持たせることができる。

最初は嫌がっていたが、今朝は「食べさせてくれてありがとう」と言われた。感謝するということは、やはり食べることが難しいと感じているからなのだと思う。

 

睡眠時も早く寝ろと言うのではなく、寝るまでゆっくりと時間を取らせることにした。幼いころ経験があると思うが、ソファなどでまどろんでいると徐々に眠くなり、親に寝室まで連れていかれる。そして添い寝の温もりの中で入眠するという幸せなリズムがあるが、2号が生まれてからこれを疎かにしてしまっていた。おれも実家が燃やされるまではそういう生活をしていた記憶がある(笑)。幼虫と一緒に寝てしまうと妻は不機嫌になるが、これも幸せの一角だと思っている。

 

叱り方については泣かせないようにするのが精一杯というところで、なるべく本人を傷つけないような言い方や言葉遣いをするようにした。今は情緒不安定なので注意するにしても何を言っても泣きそうになり、大変難しい。

 

基本的にはおれが思った通りの子供に育っていると思う。面白いし優しいし、ポケモンや古いアニメも大好きな子になった。運動は一切できないが、イカしたドラマーになってくれれば本望だ。