虫の息

おれは陽気なカブトムシ

そして、父になる

 

もう時期、上の子が小学生になる。

 

先日、4歳から習っているドラム教室の発表会があった。

会場を借りたと聞いていたが、まさかこれほど大きいホールを子供の発表会で使用するとは思わなかった。それくらい立派な会場だった。

 

2歳までヤマハ音楽教室に通っていたので、発表会というと子どもたちがかわいくワイワイやっている様子を想像していたのだが、BABYMETALからヨルシカからバンプまで、かなり幅広いジャンルをガチで演奏していて面食らってしまった。

 

この中でうちの子が緊張しないで演奏できるのかどうか不安で仕方なかったが、途中テンポがずれたもののキッズ部門の中では上手だった。

緊張をものともしないのは嫁の血だろうか。おれでは真似できないくらい堂々とした演奏だった。

 

いつもはもっと上手にできるのになと思ってしまうのは事実かもしれないが、親のエゴでしかない。本番でこれだけできるなら精神的にも技術的にも十分だった。

みんながAlexandrosやらamazarashiやら叩いてる中でめざせポケモンマスターを選んでしまって申し訳なかった。次の課題曲は女王蜂にしような。

 

以前、叱られて拗ねている長男に「おまえはみんなのことが好きかい?」と聞いたことがある。

「そりゃそうだよ、だって家族だもん。おれらはみんな仲良し、当たり前じゃん」と言われた。

叱られようが、嫌なことがあったとしても親に憎悪の感情を抱くことはありえないのだと、幼少期のおれには無かった感覚がこの子から伝わってきた。

ああ、これでよかったのだなと、いつの間にか親になることができていたのだなと、そう思うと涙が止まらなくなった。30のおっさんが顔をクチャクチャにして泣きまくった。嬉しいという感情で人はこれほど泣くことができるのかと驚いた。

 

冷静になろうと思いタバコを吸いに外へ出た。今どんな顔をしているのか気になってスマホを見たら、油っぽい肌に大量の涙と鼻水が弾かれていてめちゃくちゃ笑ってしまった。